天王星の近く
凍月



たとえ目を見開いていても
まるで目を閉じているかのような
黒い黒い宇宙

瞼の上から眼球を押すと見える
青紫の逡巡
網膜の裏の血管がちらつく
波打ち始めた模様の後に
現れた白い宇宙に
瞬く無数の青い天体

その中の一つ

夜になると見え始める
遠い埠頭あたりの光
白や赤、黄色の中に
点々と存在する
青い光

その中の一つ


大気のように流動する
気分と感情
衛星のように巡り巡る
環境と人々
だけど核となる心の奥底は
いつだって
重く冷たく融けない氷

地球に何か叫んでも
僕の声が届くのはずっと先
人間の時間じゃとても足りない
みんな死んでる
もういない頃届くでしょう
故に誰にも伝えられない叫び
普段なら孤独の月だけど
単に独りなだけじゃない
異端を意識し異常を自覚する時
更なる深みに落ちてゆき
氷の星にまでなる
だから普通とはズレている
大きく傾きそのままで
悲鳴のような軋みをあげながら
今日も冷たく光ってる


僕は何処?
いまは
天王星の、その近く






自由詩 天王星の近く Copyright 凍月 2014-10-27 22:02:49
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