モネの庭
ヒヤシンス


雨上がりのテラスで飲むレモネードが喉に優しい。
ぼんやりと周りを囲む白樺の林にはうっすらと霧が出て、
まるで夢の中に現れたクロード・モネの傑作みたいだ。
静かな幸せが辺りを包んでいる。

小さな娘がテーブルの上に榛の実を沢山並べている。
どこで拾ってきたの?私は聞く。
向こうのお山のトトロがくれた。娘は真面目に答える。
私はにっこり微笑んで、そうなのだろうと理解した。

子供の純粋な言葉には胸を打つものがある。
大人になってしまった魂にそれはとても深く。
私は未だ見ぬ娘の新しい友達を妻と共に歓迎した。

モネの庭で家族三人、静かな幸せを過ごす。
娘の放った美しく純粋な言葉に夫婦は涙ぐむ。
光に満ちた感動がまだこの世にはあるのだ。


自由詩 モネの庭 Copyright ヒヤシンス 2014-10-23 16:35:05
notebook Home 戻る