SOUP
平井容子

1.

朝、ベランダで
立ちんぼのまま夜をすする

まだこーんとした空を
盛りのついた飛行機が
西へ、西へといそいでいる

髪をかきあげる
色の抜けた毛先を透かしながら
42リットル分の世界が満ちてくる



2.

ソウダア

乾いた手
そのままで撫でる
くしゃくしゃの
まだ生きていたいソマリ

かみなり、みたいな響きでドアが揺れる
でもね、
だれも出て行かないから
だれも帰らない



3.

茹でかたをまちがえたパスタのように
ベッドにいること

到来するものに名前をつける
毛玉
セータ
こがらし
三半規管…

とおいとこへ
毛布に波紋をつくりながら
ふたりで泳いでいった




自由詩 SOUP Copyright 平井容子 2014-10-22 13:48:32
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