顏もないのに笑ってやがる
ただのみきや
昇天したくなるような
空一枚 鉤裂きにして
「おまえもおんなじ
襤褸だねえ
握りしめた石ころ落とす
脆弱な意思の皮袋
かけはぎなんかいらない
ミシンサシデジュウブン
悪意と呪いの千人針まるで
抱擁したくなる愛おしさ
時化を掻っ切るカモメになれず
重さもなく失速した祈り紙飛行機
白痴の打ち鳴らす拍子木
心地よいリズムは月のように
猫のように満ち欠ける
おれ一人 八つ裂きにして
秋は風と光でできた女
詫びも錆びもしない銀の通り魔
《顏もないのに笑ってやがる:2014年10月12日》