海にいけない
イモコ

海に行けないから
カラオケボックスで大声で叫ぶ
それが日常

毎朝5時に起きて
最寄駅へ向かうと
いつも作業着のおじさん
水曜日以外は毎朝いて
黙ってタバコを吸っている

おじさんとは言葉を交わさない
始発電車にゆられて
TOEICのテキストを読みながら眠る

駅から出てコンビニに立ち寄る
3時間ほど「いらっしゃいませ」を繰り返して
また電車に乗る

大学で講義を受けて
友達と談笑し
サークルで筋肉痛

家では母が夕食を作って待っていてくれる
すみやかに帰宅して
母の料理を食べながら
今日のこと
明日の予定
話しながらテレビを見る

お風呂に入って20分
就寝準備に20分
水を二杯

おやすみを三回

階段を上ってすぐの
ちらかった私の部屋
長い髪をまっすぐに敷いて
枕元のランプを消して
携帯の画面を20分
12時に眠りにつく

明日も、早いから

ほどほどに忙しい毎日が
私の健康的な生活を支えている

海に行けないから



自由詩 海にいけない Copyright イモコ 2014-10-13 16:15:49
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