存在への挑戦
狩心

僕の感性はあなたを非常に魅力的に感じ、欲していますが、
僕の理性は沢山の証拠を持ち出して、遠ざけようとします。

深く関わり合った事を消す事はできませんが、
思いと現実が違うように、そう、それは自分独りでは決められないものですから、
ええ、それを一致させようと必死に努力しても、他者と外界にも都合ってものが、
あるのでしょうから、深く、
関わり合った事を、
消す事はできませんが

ある所に、リスとクリ坊がいまして、
栗の中身を食べたい栗鼠は、高い木の枝から栗を落としまして、
その棘棘の外殻を開き開けたいとしましても開かずの扉、
いやその前に栗鼠は既に、目前に冬が迫っているという事実をも恐れずに、
自らの毛を全て毟り取って、リスとは言い難い、つまり、リスになる以前の「そのもの」
つまり、皮膚を全て引き剥がして、何かに少し触れるだけで耐えられないくらい猛烈に痛い
筋肉剥き出しの細胞「そのもの」で、「ワタクシ、リスではないのでして」

四年が経過して、日本では死を感じさせる、アメリカでは完璧を感じさせる、ナンバー
いつの間にか二匹の部屋には棘棘の外殻が開かれた、クリ坊のそう、棘棘の外殻だけがぱっくりと口を開けてそこに
佇んでいて、残されていて、ええ、布団もなく、床にそのまま語呂寝していたリスが、ゆっくりと目覚め、
何よりも先にまず、その愛すべき対象を確認したいと、ええ、やさしいまなざしでした。

栗鼠には思い出せない、
もしかしたらワタクシは、栗の中身を食べてしまったのかもと、
いえ、きっと、クリ坊は紅葉の秋を通り過ぎ、風を感じながら空を見上げ、遠き何かを想ったのです。

栗の外殻の内側の、柔らかい皮には
うっすらと秋の匂いが残っていて、
指先でそこを謎っても
物体特有の、ただそこにある、感触だけが虚しく
その円形の球体の空いた痕跡の、ぽかんとまあるい
何も無い、あいた空間の
あるべきものが無くなった 空間に佇んで、寄り添って、倒れて、歩けなくなって、

時間が分からなくなる場所で、リスは考えた
僕の感性はあなたを非常に魅力的に感じ、欲していますが、
僕の理性は沢山の証拠を持ち出して、遠ざけようとします。
栗鼠は栗の外殻を羽織って、針鼠になる自分を想像しましたが、
それは記憶の棚にしまって、そう、季節は変わりゆくものですから

追伸、

僕は信じています。
色々な存在が消えたり、現れたりしますが、
ええ、思いも現実も
全て消えそうになったりもしますが、
僕は、

 信じています。


深く、

関わり合った事を

消すわけにはいかないので


自由詩 存在への挑戦 Copyright 狩心 2014-10-08 15:50:53
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