愛すべき人間
きりえしふみ

ぼくの首に人知れずかかっている見えない時計の針は壊れていて
気づけば 四六時中
あなたのいる方角ばかりを示している
昼間の12時の時報でもないのに
延々とあなたの名前を呼び続ける
たぶん だあれも感知できない周波数の大声でもってして
だあれも聞き取れない二文字の言葉を拡散している

そんなぼくの内側はとても壊れていて
それでもなんとか
すらっとぼけて外側の用件をやっつけながら
あなたが生きる この星にしがみついている

次いつ……何処で
そんな約束も取りつけていないのに

ぼくの時計の針は時を打つのも忘れて
あなたがいるであろう方角ばかりを示している

(C)kirye shifumi 2014/09/29


自由詩 愛すべき人間 Copyright きりえしふみ 2014-09-29 04:43:11
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