赤坂三丁目の珈琲
アラガイs


真夜中に珈琲がきれる
煙草なら予測できるのに
インスタントの残りをよく忘れてしまう
一袋くらいパックがあるだろうと彼方此方を探しまわる
引き出しや鞄の中を探す
語れないひとときが散らばり
ほろ苦い記憶が表れてはすぐに消えた

赤坂三丁目の珈琲は寂しがりやを挽き
館は秘められた偽りのカーニバル
それは一期一会を繋ぎとめる豊潤な媚薬が薫り
僕は渇いた肌を幾度も濡らした

街を自転車で走れば風に秋桜が揺れる
ながした夜の彷徨も朝には陽の陰となり
たった一日の出逢いが途切れた絆のように
白いカップのなか琥珀色に溜まる
珈琲の薫りは甘く舌触りは切ない
持って帰った最後の1パック
それでも僕には忘れられない思い出 。










自由詩 赤坂三丁目の珈琲 Copyright アラガイs 2014-09-25 14:49:44
notebook Home 戻る