夏のアルバム
夏美かをる
七色に輝く水しぶきを浴びて
キャッキャと走り回るあなたを
私だけのファインダーに
永遠に閉じ込めておきたくて
夢中でシャッターを押したのに
あなたのぶれた指先や
揺れるスカートのレースしか
捉えることができなかった
たった一度しか訪れない
あなたにとって九度目の夏
アルバムのページには
まだ余白が残っているのに
来年にはもう被れない
麦わら帽子以外には
あなたの何一つ そのまま
留めおくことができなかった
学年がまた一つ上がって、
黄色いバスに乗り込んでいく
誇らしげなあなたの背中で
揺れていたバックパックが
少し小さくなったことに
はっと気づいたりしながら
あなたの夏を見送ることに
私は慣れていくのだろう