夏のアルバム
夏美かをる

七色に輝く水しぶきを浴びて
キャッキャと走り回るあなたを
私だけのファインダーに
永遠に閉じ込めておきたくて
夢中でシャッターを押したのに
あなたのぶれた指先や
揺れるスカートのレースしか
捉えることができなかった

たった一度しか訪れない
あなたにとって九度目の夏
アルバムのページには
まだ余白が残っているのに
来年にはもう被れない
麦わら帽子以外には
あなたの何一つ そのまま
留めおくことができなかった

学年がまた一つ上がって、
黄色いバスに乗り込んでいく
誇らしげなあなたの背中で
揺れていたバックパックが
少し小さくなったことに
はっと気づいたりしながら
あなたの夏を見送ることに
私は慣れていくのだろう


自由詩 夏のアルバム Copyright 夏美かをる 2014-09-23 13:56:29縦
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