ハッピーバースデー
かんな



呼吸をしていると
深く息深く呼吸をしていると
シンクロするように
君の鼓動が聞こえてくる
あたたかな
ひどくあたたかな眠りを誘う
愛くるしいメロディのよう

生きることはうたうこと
そういつか伝えよう
奏で始めた感情の旋律の行き先は
誰かのこころだと伝えよう
不器用にうたうこと
それは泣くことと似ていると伝えよう

振動を介して
今繋がっている尊い事実を感じて
君のこころが
いつしか言語化される時が来たら
その清流に身を委ね
上流に漂う命の頷きを受け止めよう





充足していく気配の中で
ひとりの子が私という肉体から
勢いよく飛び出した
あたらしい世界へ
おはよう、おはよう。





母になるような
チョコチップクッキーを
ゆっくりとかじっていくような
子になるような
カロリーオフキャンディを
ゆっくりと舐めていくような
感じがしている

それでいて
クッキーを食べ尽くしてしまった
ような寂しさも
キャンディを舐めつくしてしまった
ような満足感も
同時に味わうようになる

共に生きて成長していく過程は
安易なことばで表すことは
到底無理なのだけれど
安易な私はついついことばにしてしまう

どんな経験を味わって
どんな感情を得ていくのか

またひとつクッキーをつまむと
サクッ
と音を立てた





自由詩 ハッピーバースデー Copyright かんな 2014-09-22 07:37:33
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