何も出来ない
凍月



たとえ君が空腹を感じても
僕は君の為に何も出来ない
君に何かしてあげたいのだけれど
何一つ出来ない
皿の上の一切れのパンを
君は食べるだろう
空腹感が消えるだろう

僕は何も出来ない


たとえば君が疲れきって
横になる場所を探しても
僕は君の為にはならない
君のために何も出来ない
きっと君は柔らかくて暖かな
家のベッドで眠るのだろう

僕は何も出来ない
だけど


もし君が困っていたとして
もし君が僕を頼っても
僕はやっぱり何も出来ない
君を思うだけで何も出来ない
君はきっと優しいから
ごめんねと言って去ってゆく
謝るのは僕の方なのに
僕が何も出来なかったから
僕が何も出来なかったから

だから
次こそは君のために


もしももしも今度君が
悲しみに沈んでいる時があれば
もう何も出来ないなんて嫌だ
もう思っているだけなんて嫌だ
だから
今度こそ君の為に
君の涙が零れる前に
君の傍にいよう






自由詩 何も出来ない Copyright 凍月 2014-09-20 23:01:47
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