千年杉の猫月夜-9/22
りゅうのあくび

黒猫たちは
人間の力を
恐れませんでした

あくる朝には
深い霧が晴れて
太陽のしたでは行動が
穏便ではないので
捕らえられた
猫たちの奪還は
潮の引く
新月になる今夜を選び
作戦の決行を
することにしました


黒猫の心友である
千本杉を巣にする
鳥たちに力を借りて
まず偵察をお願いしました
どうやら猫たちは
首輪をされているだけで
全員無事に生きていて
安堵しました

新月である今夜未明にも
鳥たちに次は囮になって
もらう約束をしました
鳥たちが何羽も
鳴きながら低空飛行して
水夫たちの注意を
随分と惹きつけてくれて

黒猫たちは
そのあいだの闇夜に
首輪の紐をかじって
猫たちを
解放しました

座礁した船の中では
外国の猫が
船の鼠たちを
捕らえるために
働いている
噂は本当でした
間もなく船が
自壊するため
船で働く猫たちの
命を救出しました

黒猫たちは
人間たちからは
まだ隠れながら
月のしたで
千年杉と鳥たちと
猫たちとともに
この森で再び生きようと
想うのでした


自由詩 千年杉の猫月夜-9/22 Copyright りゅうのあくび 2014-09-20 15:36:45
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
猫詩集