棒きれみたいな人
まきしむ

「棒きれみたいな人」

俺は今やなんの取り柄もない
棒きれみたいな男になってしまったね
それでも君は愛してくれる
僕の頭の中で踊ってくれる

夏が通り過ぎて懐かしい空気が
僕を一瞬だけあそこへ連れ戻したよ
まだその時は何も知らずに過ごせた
それを幸福と呼びましょう


でっかい土管が腹に応える
砕けたナイフが
ばら撒かれる


夜中の3時に街に繰り出せ
俺たちは今やワル
何をしても構うことなんかない
女や子どもを誘拐して

身代金を要求しようぜ
それくらいして当然さ
誰に迷惑をかけたとしても
俺が損をすることは一つも無いのさ

あえなく御用になった俺は
刑務所の窓からセンチメンタルに浸る
そんな資格は無いと神が無慈悲にも
部屋を移動させる

流れる川の側でやっぱり
出会うのは君だけ
「迷惑だからやめて」と
目も合わせず水の中へ


俺は今やニンゲンですらない
時々子どもがアタマを撫でる
山に帰る鳥の鳴き声


自由詩 棒きれみたいな人 Copyright まきしむ 2014-09-20 11:32:39
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