chiharu


秋が来ていた

遠い遠いところから
この家のどこからか

そっと耳を澄ますと
秋がわたしを呼んでいた

遠い遠いところから
あの日と同じ声がした

呼ばれるままに
仏間の襖を開けてみると

「…あぁ、やはりあなただったのですね。」

秋が来ていた
あなたの好きな秋がそこにあった

目を閉じ、手を合わせ
あなたは記憶になってゆく

たまらなく寂しくなって
柿をそっと手の中に包んだ

もうすぐ、あなたの命日がやって来る



自由詩Copyright chiharu 2014-09-12 16:27:27
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