お日さまの絵
まーつん

 真っ白な紙を見て
 僕は、こう考える

 ここでは、
 何にでもなれる
 どんな事でも出来る
 どんな世界にも行ける

 なにかを
 創造するということ
 言葉を通じて

 それが
 僕にとって
 ものを書く価値の
 総てだった

 この手に握った
 インク滴る、ペン先は

 現実の惨めさを
 忘れさせるために
 心に打つ麻薬を仕込んだ
 注射針のようなもの

 それは
 嘘を吐くことなのか
 現実からの逃避なのか
 自分を偽り、他人を騙す
 ということなのか

 多分、すべて
 その通りだろう

 だがそれは、同時に、
 夢を見るという
 ことでもある

 詩と、物語の違いとは
 そんなところに
 あるのかもしれない

 架空の出来事を綴る詩もあるが
 そこに込められているのは
 あくまでも書き手の
 心象風景

 人は
 自分に無いものを
 差し出すことはできない

 ただ他人は、
 誰かの見る夢を
 直に目にすることが
 出来ないから
 夢見る言葉をあざ笑う

 空手形を前にした
 債権者の様に
 絵空事だと唾を吐く

 その夢が
 美しければ、
 美しいほど、
 嘘をつくなと
 眉をひそめる

 そう、確かに
 この世界は
 醜い時もある

 私たちの
 内面を映し出す
 鏡のように

 多くの場合
 現実はみすぼらしい

 だが、
 言葉から始まる
 行為があり

 すべての言葉が
 汚れている訳ではない

 小さな希望の呟きが
 心の汚れを落とすなら

 その
 細やかな行いが
 現実を変えていくなら
 美しい言葉が、あってもいい

 まだ見ぬ世界を
 描く言葉が
 あってもいい

 暗い部屋に灯す
 明かりのように

 …光の正体を
  科学はまだ突き止めていない
  それは重さも形もなく
  ただ闇に隠されたものを
  照らし出すだけ

  理性では
  捕まえられない存在が
  この世界には
  確かにあるのだ


 今日、
 僕は表で泣いた
 だから、笑える詩を書こう


 今日、
 外は土砂降りだった
 だから、お日さまの絵を描こう






自由詩 お日さまの絵 Copyright まーつん 2014-09-10 23:22:45
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