かげろう
菫
夜をまとい ひとつ
また ひとつ
陽を仰いでは
あなたの声を 響かせる
厳かに切り離されていく 大きなかげろう
ゆらりと揺れては 温もりを浮かべて
覚えていますか
先の夏には共に歩き
食事をしては笑い
つかの間の団欒を
フィルムのカメラで
撮っていたことを
ネガさえないままに
カメラはどこかに眠り
あなたの窓越しの
わたしの笑みは
ひっそりと永遠の
行方知らずの旅に出た
昼をまとい ひとつ
また ひとつ
流れ星を見送り
あなたたちの面影を 探している
自由詩
かげろう
Copyright
菫
2014-09-09 13:09:32