ロケット
霜天
すこしだけ、遠くを考ることにして
足元の言葉など
深めの空へ向けて投げる
そこまで
届いた音を見届けてから
ぼくの窓からロケットを打ち上げる
高いところ
見渡せる、空が近い
たとえば君の、赤い屋根の上の
不時着したぼくの手紙の古ぼけたところ
窓辺から
振り返ることを思い出して
また言葉をひとつ投げる
月のまるい夜
遠い砂漠の嵐の音を
窓辺で聞かされている
夢を見る
ぼくの投げるロケットの流星のような光
誰が見るだろう、遠くの
そこへ、届くまで
差出人不明で手紙が届く
懐かしい字で、誰かが好きだと書いてあった
そこから
明日への距離を測ると
すこしだけ縮まっている
ぼくの窓辺から
打ち上げられたロケットが
遠くで流れ落ちていく