ロケット
霜天

すこしだけ、遠くを考ることにして
足元の言葉など
深めの空へ向けて投げる
そこまで
届いた音を見届けてから
ぼくの窓からロケットを打ち上げる


高いところ
見渡せる、空が近い
たとえば君の、赤い屋根の上の
不時着したぼくの手紙の古ぼけたところ
窓辺から
振り返ることを思い出して
また言葉をひとつ投げる


月のまるい夜
遠い砂漠の嵐の音を
窓辺で聞かされている
夢を見る
ぼくの投げるロケットの流星のような光
誰が見るだろう、遠くの
そこへ、届くまで


差出人不明で手紙が届く
懐かしい字で、誰かが好きだと書いてあった
そこから
明日への距離を測ると
すこしだけ縮まっている
ぼくの窓辺から
打ち上げられたロケットが
遠くで流れ落ちていく


自由詩 ロケット Copyright 霜天 2005-01-28 01:33:55
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