たばこを吹かす女
ただのみきや
黒い視線がデッサンを始める
その前に
匂やか印象だけを舌先に灯し
駆け引き
張子
(
はりこ
)
のロマンス欲情田舎芝居
止まずに
降り続く冷たい天使の死顔は
新聞紙の
街並みに少しも色を重ねない
犬笛の
音
(
ね
)
まるで澄み切った舞台の奈落
廻り出す
レコード・モダンな雨の片言
白昼の体
燃える蔦のように這い上がる
懐かしい
あなたは秋を煙りの中に隠す
《たばこを吹かす女:2014年9月7日》
自由詩
たばこを吹かす女
Copyright
ただのみきや
2014-09-07 20:27:43
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