贅沢
千波 一也



読みかけの本を開くと
こぬか雨の匂いが
した

ひさかたぶりの文字たちは
指さきにそっと、重たい


夏の終わりはいつも、そう

ひっそりと濡れて
いる


空高く
青が満ちれば満ちるほど

どこへも去らない
温かな寂しさが
しとしとと

降る







自由詩 贅沢 Copyright 千波 一也 2014-09-07 15:29:08
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