罪を売る
りす

育てた罪を持って市場へ行った
飢えていたから金が
欲しかったのだ
金があれば食える
食えば生きていける動物に
僕はなりたいのだ


老練な仲買人は言った
自分で育てた罪なんか
売り物になりゃしない
苦しんだ?
そりゃいけない。
苦しめば苦しむほど罪は
濁って汚なくなる
価値が無いのさ


それでも僕の罪は売れた
手に入れた僅かな金で
半年は食っていけるだろう
半年の間にまた
罪を育てればいいのだ
「新しい罪」
その言葉に僕の胸は弾んだ
罪の種を一粒 心臓に埋めた
今度は明るく楽しく罪を育てよう
仲買人が飛びつくような
美しい罪を





自由詩 罪を売る Copyright りす 2014-09-04 03:21:33
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