三分の一神
フユナ



あなたと私と
彼女は
私を真ん中にして
つながりそうで
つながらない血筋

それなのに
なぜこんなにも
目鼻立ちが
風情が似ているのか
誰もが認めるほど

あなたと私と
彼女
ちょうど十ずつの
年の差を経て
ひとつの根から
みっつの小さな花が咲くように

黒くはない髪も
一重なのに大きな目も
肌の白さ
三つに別かれたからだろうか
心根のもろささえ

あなた
ようやっと大人の階段を上り始めたあなた
彼女が死んだのは
私があなたぐらいの頃だった
私に似ている彼女が
私に似た理由で死を選んだのは

私は彼女に似ている
あなたは私に似ている
驚くほどに

夕陽は
血脈のように赤く
深い
取り払おうとも
ひげ根のように体中に渦巻く
取り残された私
 の中に

三分の一
一人はもう神様になった
海の向こうから
似ている顔は一人で十分と
いつも私を追い払う

だから私も
海際に立っていようか
私と似ているあなたが
私と似ていると
言われ続けるあなたが
深い深い海原
体中に流れる夕陽に
目を向けずにすむように

彼岸と此岸の
ここは真ん中










自由詩 三分の一神 Copyright フユナ 2014-09-02 18:17:36
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