ノイズ
ワタナベ

さしこむ月明かりに
浮かび上がる
窓枠におかれた青白い手
古びたホログラムのような
その手の
輪郭が、ぶれ
はしる、ノイズ
握られたナイフの
かるい重み

ナイフは澄んだ鏡
凪いだ夜空がうつりこんでいる
波紋のない夜の底に
ちりばめられた電気仕掛けの蛍
発光ダイオードの
繁華街をながれる無数の影
わたしは影の逆投影
ながされながら
夜空見上げれば
どこか懐かしい
懐かしい月が
月が

ノイズ

夜風がやわらかくカーテンを揺らし
青白い手の
輪郭が、ぶれ
はしる、ノイズ
きえてゆくホログラムのように
き えてゆく
青白い手の
その先の
窓際に
残されたナイフ
煌々と

きに

ノイズ


自由詩 ノイズ Copyright ワタナベ 2005-01-26 15:17:42
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