真夜中の向日葵
りゅうのあくび

真夏の彼方から
静かな夜空へと手前に延びる
扉を開けると
独り涙に濡れている君がいた

ぽろぽろ汗を流しながら
仕事から帰り着いたばかり
ずっと一緒に生きていこうと
伝えた僕は
花瓶のなかで
瑞々しく咲いている

閉店の間際に
走りながら飛び込んだ花屋で
さっそく注文して
創ってもらったばかりの
少し切なすぎるブーケには
橙色に咲く数多くある薔薇のとなりで
黄色い向日葵が花びらを
君に向かって伸ばしている
凛として嬉しそうに

遅めの夕食を食べながら聴く
会社を辞めるときに別れを
惜しんだ同僚の話には
胸の詰まるたくさんの想いがある
きっと一陣の暖かい風が去った後の
向日葵のように
咲いている

涙が乾いたころの
寝顔の君へと宛てて
真夜中の向日葵には
とても穏やかにほろほろと咲く
幸せがある
夜明けに太陽が
昇ってしまうまでのあいだに


自由詩 真夜中の向日葵 Copyright りゅうのあくび 2014-08-01 00:47:17
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彼女に捧げる愛と感謝の詩集