彼岸花
瑞海



お花
彼岸花の女の子
触ると消える
夏だけの女の子

アスファルトが太陽を照り返す
暑さ二割増しの今日だって
森深くのあの場所に行けば
きっとあの子に会える

夏になると悪い噂がたつ
山の麓の小屋の少女が戻って来た
また また子供が死んでしまう
彼女に触れた子は みんな死んでしまう


彼岸花が咲く河原近くで
一人涙を流せば
あの子が涙を飲み干しに来る
白いワンピースと
銀色の髪を揺らしながら
そっと優しく

紅い眼を怖がらないで
ゆっくり受け入れれば
気持ちのいい死の始まり

触れてしまえば
二度と会えない
悔しいけれど仕方ない
だって彼女は
夏の日の彼岸花の女の子

うだるような夏に
風をふかすのは きっと
子供しか遊べない
永遠のかくれんぼ




自由詩 彼岸花 Copyright 瑞海 2014-07-29 23:44:26
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