入院譚
春日線香

待合室には薄暗い死角があり
その奥から話し声が聞こえてきた
飲酒だとか喫煙だとかで
入院中に規則を守らなかった男が
強制的に退院させられて
形の上では患者の治療拒否とのことで
紹介状を持たされて転院する由
厄介払いだな

街なかの墓地に入っていく
通り抜けようとして奥を目指すと
ぐるぐる同じところを廻るばかりで
出口がない
仕方なく入り口から出る
べつに紹介状は持たされなかったが

真っ黒な雲が頭の上にある
夕立を避けて店に入り
餃子を食べて
口を臭くする


自由詩 入院譚 Copyright 春日線香 2014-07-28 18:25:02
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