夜這い
やまうちあつし

 夜 地球の上を這う 目的地は 一軒の家屋 家畜のように 這いつくばった 小さな平屋
 爪が土を削り しっぽが草花をなぎ倒す 下着をすっかり 汚してしまう 何でも捨てる まだまだ捨てる 俺は一番 固い金属を持っている 美しいものを 破り捨てるためやって来た 果てしないものを 笑うためやって来た 君と夜更かしを するためにやって来た
 いつしか舌が 二つに割れる 天国が 俺を見ている 子どもの頃に兄と遊んだ 公園を避けていく


自由詩 夜這い Copyright やまうちあつし 2014-07-24 13:10:02
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