祝園駅
花形新次

いつの間にか
自分の背丈を越えていた
髭も生え
身体はすっかり青年に
心と眼差しは
あの頃のままに

今年の夏も
京都から
近鉄線で祝園駅に行くのかい?
何もない駅なのに
何故行きたがるのかしら
言葉とは裏腹
若い彼氏とのデートを
喜んでいるきみ

何もかもが
蒸発する暑さのなか
今にも溶けそうな
ホームのベンチで
静かに帰りの
電車を待つ二人

月並みだけど
幸せになって欲しい
そして
晩御飯はトンカツがいい



自由詩 祝園駅 Copyright 花形新次 2014-07-22 22:30:45
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