螺旋階段A
凍月


硬い音が
 塔に響く
  一段目と
   靴底の音
    誰も見ぬ
     静寂の中
      二歩目を
       踏み出す
        コォーン
         カツーン
        と響いた
       残る響き
      消えた音
     音の名残
    上を見て
   かすかに
  溜め息を
 漏らした
先が霞み
 まったく
  見えない
   限りなく
    続く階段
     限りなく
      昇る螺旋
       けれども
        僕は思う
         何となく
        ふと思う
       ぼんやり
      と不確定
     な予感が
    この螺旋
   には多分
  終着点が
 ある気が
段数さえ
 解らない
  それでも
   謎の予感
    は確かに
     心の中に
      存在する
       さて次は
        三段目だ
         その次は
        四段目で
       その次は
      五段目か
     いつしか
    カウント
   に飽きた
  それから
 もう何も
考えない
 無心の内
  にふらり
   と上がる
    一歩登る
     また一歩
      リズムが
       生まれて
        テンポを
         創り出す
        途中から
       纏わりつ
      いていた
     言いしれ
    ない不安
   知らない
  場所へと
 進む時の
いや違う
 不安感に
  導かれて
   何処まで
    行くのか
     それでも
      なお進む
       盲目的な
        危機感だ
         その事に
        気付いて
       とっさに
      帰ろうと
     戻ろうと
    進むのを
   止めた時
  僕は見た
 うしろを
振り返り
 通過する
  冷たい風
   僕はいま
    だいたい
     四十段は
      上り詰め
       たはずだ
        その僕の
         今までの
        階段 が
       崩 れて
      消 え
     て
      い
   た

    の

  だか


 ら


自由詩 螺旋階段A Copyright 凍月 2014-07-12 21:23:38
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