孤独
葉leaf




人は人と出会うことによって孤独を作り出していく
人にとって他の人は孤独そのものだ
生まれたとき母親と出会い
人は最初の孤独を作り上げる
育っていくごとに無数の人と出会い
人は無数の孤独を作り上げていく
幼稚園の頃一緒によく遊びたくさんの秘密を共有したN君
君もまた一つの孤独だ
大学の頃惹かれ合いながら互いに臆病で結ばれなかったKさん
あなたもまた一つの孤独だ
僕と人生の底の方で混じり合って
僕に孤独を感じさせるようになった人たちは僕の孤独
僕の孤独は僕の内側にない
僕の孤独は僕の夜空に美しく光っている
いくつもの孤独と言葉を交わし合い
いくつもの孤独と感情を分け合った

人が組織で働くようになると
あたかも孤独など存在しないかのように人とのやり取りが多くなる
組織の人たちは僕の外側で僕の孤独となりえたのだろうか
組織の人たちは僕の内側できれいに処理されて
ついに僕の外側に独立して孤独となりえなかった
組織に居て孤独を感じないのは
そもそも組織の人が僕の孤独となるだけの迫り方をしてこないから
仮面を外した潤いのあるやり取りで僕の大切な人とならないから
実存を抉り合った人の数だけ孤独の数はあるのだから
組織で働いているとこれまで作り出してきた沢山の孤独が光り始める
文学の深い話でも気楽に話せるS君
哲学をかつて共に学び今でも話がよく合うG君
組織で働く僕の夜に静かに光りはじめるたくさんの孤独たちの息遣いを感じて
僕は組織はついに人間の孤独となりうるのかひそかに考えている


自由詩 孤独 Copyright 葉leaf 2014-07-10 17:21:29
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