瞬間
モリマサ公

吊り輪にぶらさがってる
隣の女の子を
虫ピンでとめた
面影がみている瞬間
終電だけにゆるされた
いちばん夜の街
帰れないうつくしさ
ノイズみたいに走る車窓
ひそやかにリアルをのりつぐ感覚
降りたことのない懐かしい駅
「だいじょうぶ。
ほら、あれがぼくたちの皮膚だよ」
流動的に感情だけなりながら
液状化した一つの長い輪郭線
置き去りにする瞬間
いちばん飛びたくて
速くぜんぶなくして
沈黙する世界の逆転
はじめから何もなかった
どこへいくの
ざわめきを塞ぐ硝子は薄い
感情が溢れて
どこへいけるの
何もかも近すぎてさみしくて溺れる
つめたい
バルコニー&ベッド
廃墟のバスタブ
きみからくちづけされてしまう
瞬間
瞬間
(ああ、だからとじ籠めたのに
(ああ、空に血がにじんでいる



 


自由詩 瞬間 Copyright モリマサ公 2014-07-09 23:39:45
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