私鉄怨線
大覚アキラ

改札口で君のこといつも待っていたのは
ノグチゴロウだったけど
実はぼくもノグチゴロウと同じように
君のことを待っていたんだ
あの頃はまだ改札口に駅員さんがいて
切符を切ったり回収したりしていて
何時間も突っ立って君を待っているぼくは
駅員さんの目にどう映っていたんだろう
さぞかし怪しい人物に見えただろうね
結局ぼくは君を待ち続けたけれど
君とすれ違ってしまって
いつまでたっても君と会えないままで
一方ノグチゴロウはというと
君を探し出すことに成功して
二人は恋に落ちたものの
結局その恋は長続きはしなかったと
あの店のマスターから聞いたよ
駅前のあの店の窓際の席に陣取って
相変わらず改札口を眺めながら
すっかり冷めたコーヒーをすするぼくは
ノグチゴロウの何十倍も滑稽だね


自由詩 私鉄怨線 Copyright 大覚アキラ 2005-01-24 02:06:10
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