野菜生活
乱太郎


ピーマンだった朝
ごぼうと言われた昨日の昼
もやしっ子と中学時代揶揄され
これまで
土の匂いが抜けたことは一度もない
ハウスに移り住んだのは妹と義理の弟
僕は小さな畑の端っこで
売り物にならんなとこっそり日向ぼっこ
形が悪いとか糖分足りないとか
別に気に入ってもらいたい気持ちも持ち合わせず
キャベツで丸くなる
明日は大根になりませんかと
気遣う青虫がいたが
お好きなだけお食べになってくださいと横になる
天然の無農薬野菜というのが
ひとつだけ自慢の根っこで一年に一度実っては
誇らしげに太った腹を出す
蚊が一休みした一昨日の昼
熊が何気にのぞきに来た昨日の夜
青臭い春はまた芽出度いかいとやってくる



自由詩 野菜生活 Copyright 乱太郎 2014-06-25 15:37:16
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