破れた袋
草野春心



  破れた袋から
  薄暮はくぼがこぼれていく
  それは一度として充ちたことがない
  夕風を控えめな紅に染めはするが
  あのときあなたが入組んだ顔で
  言いかけたことばの切れ端のように
  それは 辺りに 散らばっている




自由詩 破れた袋 Copyright 草野春心 2014-06-22 20:18:25
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