とめがね
そらの珊瑚

金属製の留め金は
時折きしむ

わたしを
ここに
留めておくもの
家族とか
四季咲きの薔薇だとか
増えていくばかりの本棚とか
愛すべきものたちばかりなのに

長雨のあと
造成地の崖は崩れ落ち
たわんだ留め金と
樹々の根が
土砂の中で見え隠れしている

伸び縮みする
無用心な輪ゴム
そんなものに
とりかえてみる
とめがねのかわりに

髪を留めておくには
ひどく無粋ではあるけれど
夏にむかって
ゆるく束ねる


自由詩 とめがね Copyright そらの珊瑚 2014-06-13 09:39:05
notebook Home 戻る