どうか優しく眠ってください
松本 卓也

どんだけの無意味さ、重ねたっけ
真心と優しさと愛情と後悔
あと、何だっけかの夢物語

最高の笑顔の前に並べられた思い出の品
僕は多分、貴方と何度か言葉を交わしたことのある
ちょっとした存在の一員でしかないけれども

その笑顔に、黒く縁取られた写真と
参列者たちの涙に彩られた惜しむすすり泣き
多少なりとも見知った人々の嗚咽と同情
何一つ、薄っぺらい僕の瞼すら重くする

どうか、どうか優しく眠ってください
焼香を捧げる作法すら知らないけど
見知った誰か達の惜しむ声に
貴方の刻んだ生き様は
僕ですら涙で見送る事ができるほど
暖かく優しく意味のある道を
刻んで愛する人の未来を
照らして慰めているんだから

心から涙を流せるほど
心から生き様を惜しむほど
ほんの何年か先に生きて
多分ほんの何年か先に逝って

どうか、どうか微笑んで見守って
貴方の愛した家族、友、生き先
遺影の中で浮かべる優しい微笑
いい加減な生き方さえ振り帰させるほど
冷たい痛みに溢れて心に棘を刺す


自由詩 どうか優しく眠ってください Copyright 松本 卓也 2014-06-02 23:49:56
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