彩とリドリ 【連詩より】
ハァモニィベル

本作品は、メビ【書換連詩リレー】にて、はるりらさん『いろとりどり』をベースに書いてものです。本作は語句転用が多いのでオマージュ作品です。
メビ連詩板で、私⇒こひもさん⇒はるりらさん⇒私という流れは、こちらでご覧頂けます。http://mb2.jp/_gsk/241.html-385-392 )
*******



蜜の花は
山の入り口に
一輪だけ
咲いていた

《いい勘してる》

乾いたその声に
玄関を出ると
切手のない手紙の中に
最近、見ていない ひとりの私
が、丸まっていた。

おもむろに 郵便ポストを開けると、
中でなぜだか
鷲が旋回している、

霊力のある光の実をみつけ
ンバサンバァ ンバサバンサァ ンバァサバァ
と、麓までなにかを咥えて
ひるがえして飛び立った。

北の斜面では まだ いきをしていて
たちならぶ鳥の大黒柱が
我が家の軒先に突然 舞い降りると、
わたしのばあいは
くまなく良いらしいと告げた
ついでに、
森の囀り
  を
目覚めさせてくれたのは
 リドリ
そう聞いて、わたしは、
やっと、見っけ。
   と、
そう深く安堵の溜息をつく。


 ******* ******** ********


そうだ。君なら信じてくれるだろう
今朝、玄関で
私は おぞましい真赤な椿になったのだ
この姿から もどれずにいる
かれこれ3千年、散ることはない
鳥が、俺を囲んでいて
奴らは容赦なく私をついばむ

恐ろしい記憶へと連れ去るのはいつも朱い鳥だ
碧い鳥は 君に 至福をくれるだろう
みな もともと人だったのだ
リドリだけが
一向に姿が見えない
いったい、どこにいるのだ
誰か、誰か、誰か、誰か
教えてくれ!
この音は何の音だ?
いったい、いったい、いったい?
ンバサンバァ ンバサバンサァ ンバァサバァ

   *   *   *

濡れ濡った亀裂の傍に鎮座する
桃色に尖った蕾のような地蔵を擦ると
呼応するように、羽衣貝の花びらが咲きはじめ
彩めいた

長い尾を上下に しきりに・・・・・・・、あぅ・・・
 ツイツイツイツイツイ チチチチチ、
奇跡のように鳥は、
至福の中に飲み込まれて消える

しばらく 目で追うと、
どうやら 往復しているらしい

忙しそうなので 私はいった
すっかり麓まで
降りてきた私は
うつくしい囀りを聴いた
その声に耳を近づけると
 「△▼、▲▽△▼△▼?」
 「▲▽△▼△、・・・▼▲▽。」
 「△▼△▼▲▽△▼!」
 「△▼▲▽△▼。」
ああ、そうか、そんなに・・・
私を探してくれてたんだ。
わたしは涙が止まらなくなった。
私がリドリだった。





自由詩 彩とリドリ 【連詩より】 Copyright ハァモニィベル 2014-05-27 19:49:32
notebook Home 戻る