リラの花
Lucy

友の庭に咲いていた
白いリラの花が羨ましくて
根元に生えた幼木を譲り受け
我が庭に植えた

植えた翌年は庭の隅に
ひょろりと立つだけで
花をつける気配はなかった

何年もの時を費やし
木は少しずつ成長した
その間に
小学生だった子どもたちも
中学を卒業し、高校生になっていた

ある年
雪で折れそうになりながら冬を越えた木は
たった一つ
白いブドウの実のような花房をつけた

その次の年は三つ
その翌年は五つ
その次の春には十一個もの花をつけた

数え切れないほどの花を咲かせた去年
リラは立派な木になっていた
その夏 その木を庭に残し
私たちは遠くの街に引っ越した

リラよ
今年も花をつけただろうか
見えない庭の未来の空に 私は今も
白い花房を数えている



自由詩 リラの花 Copyright Lucy 2014-05-24 20:05:03
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