生き物係
ららばい

先生、
私はめだかを飼っています。
卵から孵化させました。
毎日餌をすりつぶしてあげています。
ぱくぱくぱくぱく
みんな美味しそうに食べます。
おいかっけこはしょっちゅうです。
お母さんがご飯よって言うまで、
いつまでも眺めています。

私はこころでお話する。
声が詰まって喉をつねる度、
破裂しそうな膨らみが食道を下って、
心臓がとくとくと熱くうねる。
大人たちは悲しそうな目で私を見る。

いいのよ別に。
大切な人に大切なことだけ伝えられれば。
本当の大切はそう多くはないはずだから。

「いき、もの」
3年生の係り決め。
同級生が一斉に振り向く。
先生のあんぐりした顔。
校庭の喧騒にさらわれそうな、
かっすかすの声だったけれど、
教室が一瞬止まったその日を、
私は鮮明に覚えている。




自由詩 生き物係 Copyright ららばい 2014-05-20 22:51:43
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