ゴキブリ
月山一天

「いじめられるあんたにもなんか問題があるんじゃないの?」
と母が言う
ので
これからは
学校の帰り道だけで
泣こうと思う

みんなに
嫌われてしまうのと言うと
となりのクラスの尚子は
一緒に下校してくれなくなった

本気で男になりたいと思った
便所で緑のホースグルグルされて
拳で殴りつけてくれた方が
ましだと思った

何もしなければ嫌われないなんてウソです
優しくすれば好かれるなんてのもウソです

存在が嫌われる人もいるんです

押し黙っても
動かなくても
ゴキブリのように
目の端を横切る事すら許されない存在
きたないから
キモイから寄るなと言われ
踏みつぶされる

神様は
ゴキブリに心があったら
かわいそう過ぎるので
体は地に心は天にしたのだと言う

心は高い所に
誰にも触れぬ所へ...
うれしいかった

ゴキブリ

それが私の存在の理由なら
それでもいいと思った

私、ゴキブリ

世界中が
自分を嫌いになっても
一億年は生きてやる



自由詩 ゴキブリ Copyright 月山一天 2005-01-21 16:23:23
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