母の日のランチ
小原あき

ファミレスで
天丼とうどんを食べて
わたしと息子は
お母さんの財布に潜り込んだ

使い古された財布は
いつだったか
わたしがお母さんに贈ったもの
暖かいけど
すきま風が寒い

白髪の増えた
痩せた体を追いかけて
でも、なぜか
わたしは財布を出せなかった

パチンとがま口が閉じられて
お母さんは一瞬
ぴん、と伸びた

ああ、やっぱり
わたしのお母さんだ
今度は真っ赤な
財布にしよう




自由詩 母の日のランチ Copyright 小原あき 2014-05-11 20:25:54
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