母の日に
森川美咲

ずっと思っていた
もし私に子ができたら
母のようにはしない

夢と希望を押しつけて
思い通りにならないと
はっきりと落胆の色を浮かべ
幼子にいつも顔色を窺わせるような
そしてあっけらかんと
「手のかからない子だった」と
言ってのけるような
そんな母にはならない

私には子ができぬまま
母が私を産んだ歳を十も越えてしまった
一昔前の私の幼さを顧みて
今思う

もし私に子がいたら
母のようにしたかもしれない
いや
母のようにもできず
何もできず
とまどっていただろう

ああ そうか
母もとまどっていたのだ
夢や希望を見せるばかりで
どうすればよいかわからず
思い通りにならない我が子に
困り果てていたのだ

子を育てて
母は母になってゆくのだと
ある母が言っていた

子は育った 少なくとも
母の苦悩に思いを馳せるようになった

母を母にするのは
私だったのだと
偉そうなことを思う

母さん
ありがとう

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自由詩 母の日に Copyright 森川美咲 2014-05-11 17:35:07
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