めるふぇん
るるりら


人魚のことばは あぶくです
なにを しゃべっていても 語尾はいつも 
めるふぇんて わたしたちには きこえます
うろこののこる おみあしは めるふぇん です

人魚のゆびさきは 笹船のように水をはじきます
かすかにのこる 水かきが めるふぇんです
脱皮したての人魚は 白い靴下を履くのが しきたりです
まだ うろこののこる足の指が じゅくじゅくするのも めるふぇんです

大勢の人魚が 真白な靴下だけをはいて
丘にあらわれると しだいに おみあしの めるふぇんが消えてしまいます
しだいに きれいなゆびのあいだの めるふぇんなみずかきも消えてしまいます

やがて とうめいな光が  全身をつつみ
めるふぇんな あぶく言葉を わすれてしまいます 朝日が燦々とあがると 
滑舌の良いことばを急に喋れるようになり、変な感じがして みんな笑います 


自由詩 めるふぇん Copyright るるりら 2014-05-11 05:03:06
notebook Home 戻る