ビギン
umineko

箱根でモジリアーニ展を観ました。とても良かった
ほっそりとした首の、はかなげな女性像
瞳をブルーで塗り込めて、
それは
彼女を静止させていた
あらゆる他者とのコミュニケイトを
拒絶するみたいに

だから私は
モジリアーニを
ちょっと気取った
やせ形の
ニヒル男子を想像してました
全然違った
モジリアーニは
生命力あふれる肩幅の
BEGINのボーカルさんみたいな感じ?
そんな人でした

そして
彼が描くのは
彼が心を許した人
そして瞳を塗り込める
裸体の女性は
契約したモデルさんたちだ、描くことへの純粋な衝動
そして瞳もしっかりと描く
完成され 誰かと
共有される

私は
ことばでできている
私は
だれとも共有されない
私は

私は ここだ

春は私の好きな季節
春は私の生まれた季節
春はすべてのいのちが芽吹き
そして何かを
捨てる季節

シクラメンは花を捨てた
それを実りと呼ぶのだろう
だが
私は少し 違う気がする

愛しいものを
手放す勇気を
シクラメンだけが持つ

私の勇気よ
あなたに届け

私の孤独よ
あなたを放て

 
 
 


自由詩 ビギン Copyright umineko 2014-05-07 07:46:56
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