お迎え
山部 佳

降りしきる雨が
風を呼んだ土曜日
葉桜は揺れ
泥の上に、さくら模様

母は出かける支度
黄色い傘の用意をする
「どこ、行くんや?」と、尋ねたら
「さぁちゃんの小学校や」

咲子は中学2年生だ
「おばあちゃんったら、心配性なんやから」
妻は事も無げに答える

どこか遠い過去を見ている
穏やかな母の眼に
優しさだけが残っている


自由詩 お迎え Copyright 山部 佳 2014-05-05 16:04:15
notebook Home 戻る