あたたかいスペル
ふるる

鳥が庭の果実をついばみに来た
鳥によって食べ方のリズムが違う

あんなに早く飛べるなら
雨粒も追いかけていける
まあるく逆さに空を映しながら落ちていく
綺麗なものを

風がさらった思い出や
桃色の恋の破片も
さっとくちばしにくわえて
小鳥の餌にできるだろう

軽いものしか食べないから
空も飛べる
むしろ鳥たちのために
空はある
きゅっと磨かれた青空も
涙が似合う夕暮れも

お腹いっぱいになった鳥は
筆記体を記しながら飛び去る
地上に縛り付けられた
僕の
心をよそに

cardinal
君の書いたあたたかいスペル
真紅という意味も
ショウジョウコウカンチョウという意味もあるの
雨音のように耳のそばで
いまもつぶやく


自由詩 あたたかいスペル Copyright ふるる 2014-04-24 23:58:30
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