水彩画の少年
ヒヤシンス


水彩の草原に僕はひとり仰向けで、
空をゆく雲を見ている。
淡い太陽の光を縫うような、
ぼやける事のない雲の輪郭を僕は指でなぞった。

寂しくなんてなかった。
なんとなくの不安を誰かに知られるのが嫌だった。
泣いているの、太陽の好奇心が僕の額を淡く照らす。
その時、流れる雲が太陽の邪な光から僕を守ってくれた。

無関心を装っている雲だけが僕の味方だった。
僕は雲に縋りつきたかった。
それなのに雲ときたら、いつもあんな高い所を漂っていやがるんだ。

緑の草原にさらさらと風が舞う。
悲しみじゃない涙が頬を伝い、僕は遠くの雲に手を伸ばす。
今こそ僕は記憶の中の水彩画の少年になるんだ。


自由詩 水彩画の少年 Copyright ヒヤシンス 2014-04-23 04:37:34
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