一行の夢
ハァモニィベル
(一行詩集/ ハァモニィベル「一行の夢」 )
【一行*夢】
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一行の人生が、いま、谷底へ向かって続いている。突然、愛という文字が、両手で私を抱き止める。
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天国にお邪魔してすっかり寛いでいると、神様から、「そろそろお茶漬けでも出しましょうか」と言われた。
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鳥も雲も飛ばない空虚な空の下で、海はちょっと眼を離すと、揺れている。
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【一行*詩】
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日々に皺苦茶に丸められた俺の/ポケットの隅にある/捨てられぬまま/皺苦茶に丸めた心
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腫れ上がった感情が、迷い込んだ鏡の中で、泳ぎまわる。(背泳のままのバタフライで。)
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タマネギを見つめてしまうほどの夜、陽だまりを憎むほどの午後。カーテンの向こうを通りすぎてゆく朝。
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どんなに横を向いても、春が微笑んでいる
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【一行*夢】
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黒いサングラスをしたカンガルーがライフルで狙ってる。
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キリストが、エレベーターの「開く」ボタンを押したまま待っている。
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一行の人生が、いま、谷底へ向かって続いている。必死で、句読点にしがみつく。
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砂漠で数え切れぬ砂を数えている俺。古代の王たちが死んだ眼差しでそれを見てる。
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【一行*詩】
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焼却処分された愛が、世界を吹き飛ばしてから、消え失せた空の消息は、神すらも知らない。
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自身の手のひらを見つめる時、自己の運命の行き先はそこにある。
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(いま、世界を括弧に入れて持ち歩いてる。)