白色レグホン
Lucy

私は卵を毎日産む
優秀な鶏
多くの同胞と同じように
一羽ずつ
ケージの中で大切に守られ
整った環境で
健康に育てられ
栄養が 無駄な筋肉や
要らない羽にいかないで
卵のみに集中するよう
動きを制御されていた

ピカピカに洗われて
綺麗に整列し
流れて行った私の卵たち

組織と秩序に組み込まれていることを
誇り
今日も与えられる餌を食べ
産み続けるのが私の勤め

外の世界を見たこともなく
自らの足で動き回る喜びも
食糧を探す苦労も知らず
まして私の卵たちが
本当は何のために
生まれてくるものなのかさえ
知らない

無知こそが純粋の証だとされた時代があった
世間も恋も知らない少女が
高い商品価値をつけられ
売られていき
志のまっすぐな忠実な若者が
お国のためにと戦地へ送られ・・・


知ることから
苦悩は始り
疑い 迷い
こいねが
抗うことから自由は生まれ
そのためにこそ
世界は尊い悲鳴を上げて
壊れ始める


自由詩 白色レグホン Copyright Lucy 2014-04-22 20:54:36
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