輪と彼方
木立 悟






風の斜めを斜めに接いで
透明は高く昇りゆく
月の火の径
むらさきの径


黒い肖像
黒い炎
名前は立ち去る
空は
羽に煮立ちだす


指の内の冬
かたち無きものを問うかたち
青と凶兆
涼やかな 震え


くくりくくられ
音は鎮む
音以外の魔が
残される


鉱になり鉄になり
否をなぞる肉は
朽ちるともなく朽ちてゆく
とどまるものの傍らで
流れだけが永くうたう


唯一を拾い
双つを拾う
輪の向こう
捨てるもののない
径の向こう


目に指を当て
哀しみを見る
遠く近い
ざわめきを見る
白く飛び去る
わざわいを見る
































自由詩 輪と彼方 Copyright 木立 悟 2014-04-16 03:44:11
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