夜森
木立 悟







蝶を追った
鳥を追った
羽のかけら
羽のにおい


入口の奥に入口があり
その奥にさらに入口があり
近づくものを見つめている
泣き腫らした目を 見つめている


灯りを注ぎ足し
注ぎ足してゆく
屋根の上の
ひとつの息


月 そして
ひとつの旗ふり

ひとつの傷から


震えは伝い
土につもる
葉が示す先
生きものの光


何もない土の上から
冠を拾いつづける手の向こう
色から降る色 色から降る音
静かに静かに 森を作る

























自由詩 夜森 Copyright 木立 悟 2014-04-12 02:16:53
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